知っておきたい確定拠出年金の留意点-その7

このシリーズの最後に、これまで書ききれなかったことを紹介します。


一般社団法人確定拠出年金推進協会の藤田です。
企業側が留意すべきポイントとしては、まず、制度運営にはコストがかかることです。導入時や
毎月・毎年の維持費用等が必要です。また、導入時の投資教育に加え、導入後も継続的な
投資教育を加入者に対して実施することが求められています。また、一旦掛金を拠出すると
その停止は非常に難しいと考えておくことが必要です(*1)。
次に、従業員側が留意すべきポイントとして、退職しても原則60才まで引き出しができないことが
あげられます。退職金の代替にはなりません。加入期間が10年に満たない場合は、最大65才まで
スライドします(当シリーズのその1で紹介)。中途脱退(引き出し)は極めて限定的であり、ほとんどの
場合は脱退できないと考えていた方が良いかと思います(*2)。また、確定拠出年金の基本ですが、
運用は自己責任であり、将来の受給額はそれぞれの運用成果次第で変動します(当シリーズのその
2~4で書いています。
)。
(*1)掛金の拠出停止
   給与が支給されておらず、合理的な理由があり、かつ、労使合意のうえ規約に明確に規定されていれば、
      中断は可能
(*2)中途脱退できるケースは以下の通り。
   (ケース①) 以下の全ての要件に該当
       a.     企業型確定拠出年金・個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者でないこと
       b.     確定拠出年金資産が1.5万円以下であること
       c.     企業型確定拠出年金の資格喪失日から6ヶ月を経過していないこと
     (ケース②) 以下の全ての要件に該当
       a.     国民年金保険料納付免除者であること(第1号被保険者で、生活保護、申請免除、学生納付特例、
      若年者納付猶予のいずれか)
       b.     障害給付金の受給権者でないこと
       c.     通算拠出期間が3年以下、または個人別管理資産が25万円以下であること
       d.     企業型確定拠出年金の資格喪失日から2年を経過していないこと
       e.     企業型確定拠出年金の加入者資格喪失時に脱退一時金を受給していないこと
これを見ると、やはり脱退は難しいことがわかりますね。
次回は、「確定拠出年金の実態調査」について書いてみます。


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