選択制確定拠出年金制度について-その3

選択制確定拠出年金制度の導入にあたって、留意する点をみてみましょう。


一般社団法人確定拠出年金推進協会の藤田です。
前回、選択制確定拠出年金制度(以下、DCという。)のメリットをお話しましたが、社会保障の受給額(厚生年金のほか、健康保険の出産手当金・傷病手当金、雇用保険の失業手当・育児休業手当・介護休業手当等)が少なくなることに留意が必要な旨も付言しました。
今回は、その他の留意点をみてみます。
まず、従業員給与・役員報酬規程の改定が必要です。選択制DCとは、基本給の一部を減額して、その範囲内で、DC掛金を拠出するのかを選択することになる訳で、従業員については、給与規程の改定(→基本給の減額)、新たな規程(退職準備給付規程等)の新設(→基本給の減額部分を従業員がDC掛金とするのか、従来通り給与として受け取るのかを選択できること等の明記)が必要になります。いずれも労使合意が必要です。新たな規程・費目の名称については、退職準備給付規程やライフプラン規程、DC掛金や401k掛金、給与選択金や前払選択金など任意で決定できます。給与規程の改定案・新たな規程案は、事前に当局(関東信越厚生局等)で審査を受け、DC年金規約の承認を得るために必要なものです。また、DC掛金を選択した場合は、給与(いわゆる手取り)が減少することの周知徹底、従来よりも基本給が低くなるため、採用時の勤務条件の表示の仕方、さらには、基本給の減額による最低賃金法への抵触の可能性、割増賃金等が下がらないようにすることにも留意が必要です。
役員については、役員報酬月額の一部をDC掛金に振り替えるため、役員報酬月額の変更に当たります。税務上、役員報酬の損金性は定期同額給与が要件になっており、損金性を否認されるリスクを避けるためには、株主総会後の取締役会等で各役員の役員報酬月額を変更した後に、選択性DCに加入することが無難と考えられます(以上は、一般的な取り扱い・考え方ですので、詳しくは管轄の税務署または税理士に相談して下さい。)。
次回に続く。


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