確定拠出年金の「受取り」で知っておくべきこと④

DC受取りのタイミングに関して検討すべき項目

確定拠出年金推進協会の藤田雅彦です。

コラムの読者の中には、そろそろDCの受取りを検討されている方もいらっしゃると思います。今回は、そのタイミングについて検討すべき項目をお伝えします。

2022年の法改正については以前のコラムでお伝えしましたが、受取りに関する部分をまとめると以下のようになります。

iDeCoは、65歳まで積み立てができる

企業型DCは、会社のDCの規約にもよるが、60歳から70歳まで積み立てができる

DCの受取りは、75歳までに一時金で受け取るか年金で受け取るかの選択ができる

iDeCoも企業型DCも最短で60歳から受け取りができる

さて、本題に入ります。タイミングに関して検討すべき項目は、大きく分けて、「運用」と「税制」に分けることができます。

まず、「運用」についてです。

株式型の投資信託で運用している場合に、タイミングは特に重要です。リーマンショックの後のようなときに受け取ってしまうと資産が元本を下回るというようなことも考えられます。株式相場は、景気の良し悪しに左右され、上がったり下がったりするので、受け取りたいタイミングが決まっていれば、前もって、元本確保型かリスクの小さいバランス型にスイッチングすることをお勧めします。では、「前もって」は、いつなのか?私は、概ね5年前から検討することにしています。リーマンショックの時は、アメリカ株は3年で回復しました。日本株は5年かかりました。

具体的には、75歳で受け取ろうと思っているので、70歳前後で相場が良いと思った時に、リスクの小さいバランス型にスイッチングするつもりです。相場が悪い時は、数年待つことになるかもしれません。相場の格言に「たい焼きの頭と尻尾はくれてやれ」というものがあります。たい焼きは、頭と尻尾を除いた胴体の部分にあんこが詰まっています。おいしいあんこをいただきながらも、欲張り過ぎずに、頭(最高値)と尻尾(最安値)は他の人に食べさせてあげろという意味です。もちろん、最安値で買い、最高値で売るのが理想ですが、腹八分のところで納得し、余裕をもって売却(一時金での受取)しましょう。

次に、「税制」についてです。

前回のコラムで、年金か一時金のどちらが有利かお話ししました。結論は、「一時金」でしたね。一時金で受け取る場合は、退職所得控除の適用がありました。

ここで、しっかり検討すべきなのが、会社から受け取る退職金が大きな金額となる大企業の会社員や自身で退職金の受取りの時期を決めることができるオーナー社長の場合です。

2回退職金を受け取る場合、退職所得控除の適用にルールがあるのです。

A:同じ年に受け取る

B1:DCの一時金受取り後、5年間隔をあけて会社の退職金を受け取る

B2:会社の退職金受け取り後、20年間隔をあけてDCの一時金を受け取る

C1:違う年に受け取る場合で、1回目の一時金受取りで退職所得控除に余り無しの場合

C2:違う年に受け取る場合で、1回目の一時金受取りで退職所得控除に余りがある場合

何を言っているのか分からなくなった方も多いと思います。コラムのスペースが無くなってきましたので、別の機会に解説したいと思います。

私の場合、退職金の金額がまだ分からないので、計算のしようがありませんが、退職金が大きくなるとわかった場合は、B1を選択する予定です。75歳で退職金を受け取ろうと思っているので、その場合、70歳までにDCを一時金で受け取ります。すると、安全な運用に切り替えるタイミングは、65歳前後に検討することになりますね。

このように、人それぞれで受取りは千差万別だということです。運用に関しては、運・不運がありますが、税制に関しては、知った者勝ちの側面があります。受け取りが近くなったら、是非、確定拠出年金アドバイザーに相談してください。

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