投資信託のコスト
確定拠出年金推進協会の藤田雅彦です。
「投資信託の仕組みその①」で、投資信託のデメリットとして、コストがかかることを説明しました。何かのサービスを受けるのには、当然にコストが発生します。今回は、投資信託に係る様々なコストについて見ていきましょう。
投資信託に係るコストは、購入時、保有期間中、売却時に発生します。必ず、3つのステージすべてで発生するものではありません。
まずは、購入時のコストです。一般的に、証券会社や銀行から投資信託を購入する際は、購入時に手数料が発生します。但し、「ノーロード」と呼ばれる投資信託は、証券会社や銀行で購入する場合でも、購入時の手数料はありません。「ロード」とは、英語で「load」、「負担」という意味です。負担がないのでノーロードです。ノーロードの投資信託は、非常に本数が少ないです。
一方、確定拠出年金の中で投資信託を購入する場合は、すべてノーロードです。なので、積立てで投資信託を購入するなら、まずは、確定拠出年金での運用を検討しましょう。
次に、保有期間中のコストです。「信託報酬」という管理コストが発生します。これは、すべての投資信託で発生します。信託報酬は、前回の「投資信託の仕組みその②」で説明した投資信託の関係者で分け合います。販売会社、運用会社、信託銀行の3者です。
具体的に見ていきましょう。キャピタル世界株式ファンドには、一般用とDC年金つみたて専用があります。一般用の信託報酬は、年率で1.694%(税込)、内、販売会社0.825%、運用会社0.825%、信託銀行0.044%となっています。信託銀行は、けた違いに少ないですね。では、DC年金つみたて専用はどうなっているのでしょうか。こちらは、年率1.078%(税込)で、内、販売会社0.528%、運用会社0.528%、信託銀行0.022%となっています。一般用と比べて、コストが安いです。保有期間中のコストを見ても、確定拠出年金の中の投資信託は、信託報酬が割安なものが多いのが特長です。
最後に、信託財産留保額とは、どのようなものか説明します。例えば、企業型DCで中小企業でも加入しやすいものとして、あいおいニッセイ同和損保と野村証券が運営管理を行っている「forche」というブランドの企業型DCがあります。運用商品ラインナップの中に、投資信託が21商品入っていますが、その中で信託財産留保額が発生するのは2商品のみです。
それぞれ、「0.1%(解約時)」「0.3%(解約時)」と備考欄に記載されています。
信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に投資家が支払う費用のことです。但し、別途投資家が支払うのではなく、「基準価額に対して何%」といった形で解約代金から差し引かれます。信託財産留保額は、投資信託を保有し続ける投資家に迷惑がかからないようにするための費用です。解約して投資家に代金を支払うためには、投資信託の中の資産を売却する必要があり、そのための手数料が発生します。解約することによって発生する手数料なので、解約する投資家に負担してもらう仕組みになっています。一般的には、0.1%~0.3%程度です。例えば、信託財産留保額が0.3%の場合、1,000,000円分解約する際に差し引かれる金額は、3,000円となり、997,000円受け取ることとなります。