投資信託の純資産額と基準価額
確定拠出年金推進協会 代表理事の藤田雅彦です。
「投資信託の仕組み」の最終4回目として、投資信託の純資産額と基準価額について説明します。
純資産額とは、投資信託の規模を表します。投資信託は、投資家から集めたお金で株式や債券などを購入するのですが、投資した資産が値上がりしたり、投資した資産から配当金や利息を受け取ったりすると純資産額は増加します。さらに投資家が追加で購入するとその分純資産額が増加します。
逆に、投資した資産が値下がりしたり、解約が出たりすれば、純資産額は減少します。また、運用管理コスト(信託報酬や取引コスト)は純資産額から差し引かれますのでその分減少します。このように、純資産額は、日々変動しています。
投資信託の場合、純資産が100億円となった場合、「(シングル)ヒット」商品、1,000億円で「大ヒット」商品、1兆円を超えると「メガヒット」商品と大まかに覚えていると良いでしょう。購入しようと思った投資信託の純資産額を確認することによって、その投資信託の人気度合いが分かります。但し、人気があるからと言って上昇するものではないことに注意が必要です。そこには、証券会社や銀行などの「販売努力」が反映されていることも多いです。
基準価額とは、投資信託の値段のことです。株式の場合は、「株価」に相当します。注意したいのは、「基準価格(かかく)」と言わず、「基準価額(かがく)」という点です。基準価額は、1万口当たりの値段です。投資信託では投資単位を口数(くちすう)と言います。口数は、株式では「株数(かぶすう)」に対応する用語です。
当初、投資信託を設定するとき、1口は1円です。最初の基準価格は、10,000円で設定されますので、10,000円では、10,000口保有することになります。投資信託は、株式と比較して単位が大きいですね。
基準価額は、純資産額を受益権口数で割って、10,000をかけて求められます。株価に対応する用語です。投資信託の基準価額を見ると、7,000円とか12,000円とか株式と比べて大きな金額ですが、10,000円からスタートするのでそのような金額になります。また、基準価額が10,000円を超えていれば、設定来、上昇したことがわかり、10,000円を下回っていれば、設定来、下落していることがわかります。但し、分配金を出す投資信託では、投資信託の成績を評価する際、分配金を加味して、基準価額を評価する必要があります。
例えば、人気のある「キャピタル世界株式ファンド」の見ると2023年4月27日現在で、純資産額は、365,166百万円(3,651億円)となっているので大ヒット商品と言えます。基準価額は、21,249円なので、設定が10,000円であることから、倍以上に値上がりしていることがわかります。設定日は、2007年10月29日と記載されています。